Green Culture

Green Culture vol.9 世界各地のナチュラル・ライフ | CANADA

space

ダイナミックな大自然と、共に生きる|CANADA  文:沢田 美希(ASOBOT)

世界で最も多く生息する野生のオオカミが凛々しく雄叫びをあげる岬。
山の雄大さを実感しながら走る道。15メートルにも及ぶ干満差を見せる湾。
そのすべてがダイナミック。地球のスケールの大きさを肌で体感できる国・カナダへ。

space

 極寒の中、まるでこの世のすべてを包み込むような、オーロラという名の神秘的なカーテンが現れる。太陽の出ている間は、湖に張ったぶ厚い氷の下で泳ぐ魚を探すアイスフィッシングを、雄大な自然を背景に楽しむ。さらに、四季折々の目を見張るほどの食材は、新鮮なうちに調理されテーブルの主役となる。それらは、ダイナミックな大自然を有するカナダだからできること。

 「地産地消」「スローフード」。近年の日本でも一般化したこの言葉は、カナダではあたり前のように実現されている。有名レストランとして名を馳せるシェフ自ら、その地域の農場や畑、海辺、市場へ出向き食材を目で確かめる。人間の欲求に従うまま食材を人工的に成長させることなく、自然の摂理に沿い、その時期その地域で無理なく採れるものを必要な分だけ採取する。たとえ来シーズンまで待ったとしても、自然に倣う。それが、真のスローフード。

 北極点までのびる広大な土地があり、冬は雪に覆われ気温も氷点下となるカナダでは、この時期「アイスワイン」を堪能できる。マイナス8℃まで下がった頃に収穫される凍ったブドウで作られるアイスワインは、とろりと甘く、香り豊か。1杯のアイスワインに、テーブルワイン10杯分のブドウが必要なほど、希少なワイン。まさに、身も凍るほど寒い自然から、カナダの人々が得た産物。

  さらに、現代になってもなお、グリズリーベアやベルーガ(シロイルカ)、ジャコウウシやカリブーなどの野生動物が、カナダでは悠々と凛々しい姿で生存する。それが可能なのは、「ファーストネーションズ」と呼ばれる先住民がこの大地へ貢献したことの一つだろう。その昔、大地殻変動があり、人々は食材を求め移動をし、様々な部族の先住民がその環境に順応した生活を営むようになった。自主独立の民族であったものの、統治され、管理される歴史を経てきたファーストネーションズには、誇り高き自らの文化と信仰がある。中でも豊富な資源がある環境に身を置いた先住民は、定住生活を営み、文化や芸術を築いてきた。たとえば、北西沿岸部に定住した民族による、巨木を使い彫刻を施した「トーテムポール」。神話に登場する人物や動物が刻まれたその柱は、カラフルで異次元な世界へと誘う。深くは、過去・現在・未来が刻まれたものまであるという。また、「カービングマスク」を被り踊るときには、動物になりきって演舞する。それは、ファーストネーションズの、土地や動物との深い霊的関係に由来する。彼らの霊的信仰は、人間と動物界は密接であるというもの。同時に動物は守り神であり、その信仰心は今もなお、儀式や口伝で代々伝えられている。

 カナダ・インディアンとして登録されているファーストネーションズは、約54万人、カナダ人口の1.8%(2010年時点)。ダイナミックな大自然と共に生き、そこで生き抜く智恵を得てきた人々の叡智は、埋もれることなく強く深く流れている。

space
space space
space
Nunavut Tourism Randall Shirley
(contact randall@randallshirley.com for High Resolution)
Randall Shirley
(contact randall@randallshirley.com for High Resolution)
space
◇ MUSIC|The Weeknd「Thursday」
space
space 2011年春に、海外ブロガーを中心に超話題を集めた「The Weeknd」。ウェブサイトにてフリーダウンロードという形態をとる新星。その正体はトロント出身21歳のABEL TESFAYE。一人でサウンド作りからボーカルまですべてを担当。ダンスミュージックシーンで注目されているビートミュージックをベースに、R&B調のボーカルが乗る新しいスタイル。トレンドに敏感なリスナーだけでなく、彼の音はジャンルレス。家のソファでゆったりと聴きたい。

http://the-weeknd.com/

space
(WEBにて配信中)
space
◇ DVD|「トイレット」
space
space 荻上直子監督の最新作は、全編カナダで撮影した、家族という小宇宙を描いたハートフル作品。オタクのレイと引きこもりのモーリー、勝気な妹リサは、ママが遺した家で、猫“センセー”と、そしてママが日本から呼び寄せた“ばーちゃん”と奇妙な共同生活をスタートさせる。今までバラバラだった家族が、ばーちゃんの存在をきっかけに、ひとつ屋根の下ゆっくりと絆を強め人生を動かし始める。ユーモアを織り交ぜながら、人のかかわり合いを優しくも冷静に描いた感動作。
space
(DVD発売中/4,935円
発売元:ショウゲート
販売元:ポニーキャニオン)
©2010“トイレット”フィルムパートナーズ
space
◇ BOOK|「おじいさんならできる」
space
space NYからカナダへ移住し絵本創作に専念した作者が遺した98年の作品。ヨゼフが赤ちゃんだったとき、おじいさんはブランケットを自らの手で作り、汚れてくると、今度はジャケットへと変身。ヨゼフが大きくなりジャケットが小さくなると、おじいさんはベストへと変身させ……。一枚の布で、なんでも作り出してしまうおじいさんから、大切なことを教えてもらえる。絵本ならではの、クスッと笑ってしまうような微笑ましい絵も楽しい。
space
フィービ・ギルマン 作・絵
芦田ルリ 訳
(福音館書店/1,360円)
space
◇ BOOK|「小説のように」
space
space オンタリオ州出身の著者が70代となり描いた最新短篇集。忘れたはずの過去を窺わせる小説が現れ、書き手の少女が遠い日の自分を見つめている。それは時を超え自分自身と向き合うことになる、ある女性の人生。妻、継母、マッサージ師の三人の女性が、青年の死の床で繰り広げるせめぎ合いと、その青年の最期。“ひと”の濃厚な人生を、深くも瑞々しく描いた10の物語。これはまさに“短篇の女王”と称されるアリス・マンローの集大成。
space
アリス・マンロー 著
小竹由美子 訳
(新潮クレスト・ブックス/2,520円)
space
◇ ITEM|モカシン ブーツ、モカシン 室内スリッパ
space
space 平原地帯に暮らすオジブワ族のアートである、ビーズ刺繍をあしらったモカシンブーツは、一つ一つ手で刺繍がなされたもの。カナダの寒さに耐えられるよう内側はフリース仕様となっている。スリッパは履き口がウサギの毛で覆われ、温かさはもちろん肌触りも抜群。どちらも先住民の文化を継承するモカシンメーカー『MANITOBAH』が手掛ける。手作りの味わいと機能性、そしてカナダの地で紡いできた文化が宿ったアイテム。

中野区沼袋4-29-15 サンシャイン・7 1F TEL.03-5345-7308
http://www.dogal.jp/

space
(37,800円、12,600円/カナディアンギャラリー)
space

Green Culture vol.8 世界各地のナチュラル・ライフ | Turkey

space

Green Culture vol.7 世界各地のナチュラル・ライフ | Thailand

space

Green Culture vol.6 世界各地のナチュラル・ライフ | 鎌倉

space